アマゾン川ハンモック船の旅②サンタロサ(ペルー)、レティシア(コロンビア)、タバチンガ(ブラジル)三国国境と陸の孤島

コロンビア

アマゾンを訪れてみたい旅人は大勢いるだろう。私がバックパッカーで旅をしている時にも、アマゾンに行ってきた旅人やこれから行く予定の旅人に沢山出会った。目的地はペルーのイキトスかブラジルのマナウスのどちらかだ。どちらも飛行機で簡単に行って帰って来られる。だが私は、アマゾン川を全て船で渡る旅をおすすめしたい。その旅は飛行機では見ることのできない景色や、アマゾンに住む人々の生活を見ることができる。

アマゾン川を2週間かけて下った時の話、第二話。

サンタロサでペルー出国、レティシアでコロンビア入国

ハンモック船はペルーのサンタロサに到着する。ここは三国国境になっており、移動が少し複雑だ。

サンタロサに到着すると、船の外でボートがひしめき合うように待機している。そのボートに乗り、まずはペルーのイミグレーションで出国スタンプを押してもらう。またボートに乗り、次はコロンビアのレティシアに行き入国スタンプを押してもらう。そう、陸で繋がっていないのだ。ハンモック船が着いた場所からペルーのイミグレーションがある場所、コロンビアのイミグレーションがある場所それぞれにボートで移動しなくてはいけない。

マナウス行きのハンモック船のタイミングにも寄るが、このレティシアで数日宿泊することになる。サンタロサに着いて、その日のうちにマナウスに出発できることはまずない。宿泊するには宿も食堂も沢山あるレティシアがいいだろう。レティシアをはじめ、アマゾンのご飯は美味しい。

タバチンガでブラジル入国

翌日、次に乗る船のチケットを買いにブラジルのタバチンガにいく。レティシアとタバチンガはパスポートが無くても自由に行き来ができるようになっていて、徒歩やトゥクトゥクで移動ができる。そんなに簡単に行き来ができるのに、国境を超えた瞬間にガラリと町の雰囲気が変わる不思議な場所だ。コロンビアは道が広く雑貨や洋服のお店も沢山あり、ブラジルはもっともっと質素な印象だ。

両国を繋ぐ大通りももちろんあるのだが、こんな裏道を歩くこともできる。道らしい道はない。雨季の今は浸水しているので、細い板を一本に並べて道を作っている。ここはコロンビア側だがさっき言った雰囲気とは違い、やはり国境は土地が整理されていない。ここを抜けるとブラジルに入る。

ここからブラジルだ。女の子が鳥をそこら辺で見つけてきて飼っているのだとお父さんが教えてくれた。

タバチンガからマナウスに行くハンモック船のチケットを買う。タバチンガに入ってから港に行ってチケットを買うまでに必要なポルトガル語を載せておく。

船探しで使えるポルトガル語フレーズ集

マナウスに行きたいです。

「Quero ir para o Manaus.」「ケロ イー パラ オ マナウス.」

マナウス行きのチケットはどこで買えますか。

「Onde posso comprar uma passagem para o Manaus?」「オンジ ポソ コンプラール ウマ パサージェン パラ マナウス?」

港はどこですか。

「Onde fica um Port?」「オンジ フィカ ウン ポルト?」

いくらですか。

「Quanto custa?」「クアント クスタ?」

何時に出発しますか。

「A que horas vai partir?」「ア キ オラス バイ パルチー?」

ペルー?コロンビア?ブラジル?私今どこにいるの?

船のチケットを買ったら、ついでにブラジルの入国スタンプももらっておこう。船が出港する日でもいいのだが、港、コロンビアのイミグレーション、ブラジルのイミグレーションが離れているので先にもらっておいた方が楽だ。

ここで疑問がでてくると思う。ペルーは出国スタンプでちゃんと出た。その後コロンビアに入国して更にブラジルにも入国している。私はどこにいるのだろう。

そう、これが陸の孤島なのだ。同時に二つの国に入ることができる。もしコロンビア側から陸の孤島に入って、またコロンビア側から出て行くのならブラジルの入国スタンプはいらない。ブラジル側から入った場合も同じだ。その代わり、入ってきた国と違う国へ出る場合に、それぞれの入国スタンプと出国スタンプを乗船時に確認される。今回はコロンビア側から入りブラジル側から出るので両国のスタンプがいるわけなのだが、この自由な陸の孤島にいる間は数日間入国が被っても問題ないのだ。そして陸の孤島を出る時には、コロンビアの出国スタンプを押してもらうのを忘れてはいけない。

マナウス行きの船「GM OLIVEIRA号」

朝、コロンビアで出国スタンプを押してもらいタバチンガの港に向かう。港の近くでは朝市がやっていて、色んな種類の新鮮なフルーツを買うことができる。

2019年、タバチンガでは部族を守る活動家が殺害せれる事件があった。こうやって町を歩いていると、このアマゾンのど真ん中で皆一生懸命にたくましく、穏やかに、生まれた場所を愛し、ある物に感謝をしながら生きているように見える。さらに奥には現代社会と接触せずに生活している人たちもいる。そしてその生活を守ろうとする団体が存在する。まさかそんな事件があったとは感じさせない風景だった。帰国後そのニュースを知った時、それだけ違いのある人間が出入りし、問題を抱えながら立ち向かう人もいれば諦める人もいたり、希望を持っている人がいたり毎日を淡々と過ごす人がいたり、色んな思いが絡み合っている場所なんだと感じた。

船事情

タバチンガからマナウスは3泊4日。アマゾン川を渡るハンモック船の中で一番快適な区間だ。まず、乗り込む時に一人一人荷物のチェックをされる。時間はかかるがしっかり見てくれるので安心だ。船内もとても綺麗でどこにいても過ごしやすい。

なんと今回は食事も付いている。朝昼晩、準備ができると食堂のおばちゃんが鐘を鳴らして教えてくれる。手ぶらで食堂に行く。小さな食堂なので行列に並んでよそってもらって、テーブルで食べて、食べ終わったら次の人と入れ替わるスタイルだ。好きな分だけ食べられるし、毎回食事の時間が楽しみになるくらいとても美味しい。

ゆったりとした船で、ビールを飲みながらアマゾンの夕陽を眺める。控えめに言って最高だ。

村の人たちとイルカの共存も見られる。

アマゾンに行くのなら、ぜひこの陸の孤島を訪れてタバチンガーマナウス間のハンモック船に乗って欲しい。

料金

船 220レアル

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