「レッドリスト」や「絶滅危惧種」という言葉は、動植物園や図鑑、テレビなどでよく見聞きします。なんとなくは理解していたけど、詳しく知ろうとすると情報が多すぎて複雑だったので、改めて一から調べてみました。
基本的な事はこのページで解決できるようにまとめたつもりです。もし、さらに知りたい情報や不足があれば教えてください。
レッドリストとは
スイスに本部をおく国際自然保護連合(IUCN)が作成した、絶滅の危機を調べた生物種のデータベースです。生物種なので動物だけではなく植物も含みます。
2017年、IUCNは91,523種を評価し、うち25,821種を絶滅危惧種としました。91,523種というのは全体のわずか4%であり、世界中の膨大な数の生物種を調査して評価するには相当な時間がかかります。「レッドリストに掲載されている=絶滅危惧種」ではありません。また、「レッドリストに掲載されていない=絶滅危惧種ではない」でもありません。更新のたびに数は増え、評価も変化します。
IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト
IUCNのレッドリストでは大きく4つの段階に分けられます。
〈絶滅〉〈絶滅危惧〉〈低リスク〉〈その他〉
表にしたものを下に貼りました。
2019年12月時点でリストに登録されたものは112,432種、うち30,178種が絶滅危惧種と評価されています。

保全対策依存(CD)は2001年に廃止されていますが、移行が完了していないので表に残しました。
日本におけるレッドリスト
実は日本独自のレッドリストもいくつか存在します。下の表は環境省が作成したレッドリストを元に、IUCNのカテゴリーに似たカテゴリーを同色で表しました。

レッドリストの他にレッドデータブックというものがあります。レッドデータブックはレッドリストの情報に加えて、形態、生息環境、生息状況、絶滅の要因、保全対策などの詳細な情報が盛り込まれています。さらに時間を要するため、最新の情報はレッドリストになります。
世界中にレッドリスト
レッドリストは世界各国で政府機関などによって独自に作成されています。そしてそれらの多くはIUCNの基準に沿って作成されています。
これはアルゼンチンの博物館にあるレッドリストです。

〈EC〉絶滅危惧
〈EN〉その一段下の絶滅危惧
〈AM〉そのまた一段下の絶滅危惧
〈VU〉準絶滅危惧
〈IC〉データ不足
こんなにいたんだ!
絶滅(EX)
クロマニョン人・アウストラロピテクス・恐竜・マンモス・メガテリウム(オオナマケモノ)
生物の歴史の中で絶滅した種の数は50億種〜500億種にのぼるとか。近年では絶滅のスピードが加速し、生物種の50〜90%が生存するといわれる熱帯雨林では、1日あたり74種もの生物が絶滅しているといわれているそうです。1日あたり74種って、恐ろしい数字ですね。
野生絶滅(EW)
ヒトコブラクダ・ニホンオオカミ・トキ(IUCNではEN)
このカテゴリーについてはIUCNと各国でデータの差があるようです。
絶滅危惧(CR)(EN)(VU)
ゴールデンライオンタマリン・ワタボウシタマリン・オオカワウソ・アカシュモクザメ・ピグミーミユビナマケモノ・タテガミナマケモノ
今、地球上には3,000万種以上の生物が生息していると考えられています。2019年12月時点で、そのうちの30,178種が絶滅危惧種と評価されています。
低リスク・準絶滅危惧(NT)(LC)
シロヘラコウモリ・アカメアマガエル・ピューマ・ジャガー・マダラヤドクガエル・ノギハラバシリスク・コビトカイマン・コモンリスザル・ノドチャミユビナマケモノ
データ不足・情報不足(DD)
アマゾンカワイルカ
動物園で定番の動物も
世界中の色んな動物を調べてみると、ライオンやゾウなど「あれも!?これも!?」といった名前が絶滅危惧種に並びます。子どもたちに人気だったり、誰でも知っているような動物が絶滅の危機に瀕していることを初めて知ります。自分の好きな動物で調べてみると意外な結果が出てくるかもしれませんね。
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